この大地の奥には、虹の蛇が眠っているー
オーストラリアの大自然と神話に彩られた、神秘的でエモーショナルな心理サスペンス
シドニーなどの大都市を擁する先進国でありながら、未開の荒野や湿地帯があちこちに残り、ヨーロッパからの植民という歴史とともに独自の発展を遂げてきたオーストラリア。とりわけアウトバックと呼ばれるオーストラリアの奥地は、原初の自然が残り、雄大で神秘的な光景が広がることから、国民のアイデンティティの源泉であるとともに、“聖なるものが宿る”畏怖の対象でもある。その恐怖感を表すように、伝承・詩・演劇などで語り継がれてきた「奥地で行方知れずになる子供の物語」を、新鋭監督キム・ファラントが現代に甦らせた。

脚本に惚れ込んだニコール・キッドマンが、25年ぶりに母国オーストラリア映画に主演。
ハリウッドで頂点を極めた女優が、故郷のために一肌脱いだ!
脚本に惚れ込み、オーストラリア未開の地に乗り込んだニコール・キッドマンが、母として女としての葛藤するヒロインを、衝撃的な全裸シーンもいとわず心身ともに剥き出しの演技で体現。その圧倒的な女優魂は観るものを惹きつけてやまない。共演には『マトリックス』『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで知られるオーストラリアの名優ヒューゴ・ウィーヴィングと『恋に落ちたシェイクスピア』のジョセフ・ファインズ。ニコールの娘役として、ファッションブランド“miumiu”の2015秋冬キャンペーンモデルを務める新星マディソン・ブラウンが起用され、鮮烈な映画デビューを飾っているのも見逃せない。

“最初は白い者、次は黒い者。子供が消える、ここはそういう土地”
荒涼とした砂漠地帯にたたずむ小さな街ナスガリ。訳あってこの地に越してきたキャサリンとマシュー夫婦に予想もしない事件が降りかかった。ある満月の夜、神隠しに遭ったかのように、彼らの子供が突然姿を消したのだ。うだるような暑さのこの土地で行方不明となった者は、2、3日で命の危険にさらされる。地元のベテラン警官らが大掛かりな捜索を行うが、どこにも手がかりが見当たらず、人々の疑惑の目は次第に夫婦へと向けられる。そんな中、アボリジニの子供がキャサリンに「虹の蛇が二人を飲み込んだ。歌えば帰ってくる」という謎の言葉を告げ…。

「虹蛇の伝説」とはー
アボリジニの世界観に「ドリーミング」と呼ばれるものがある。この世界がどのように生まれたか、この世のあらゆるものはどのような調和を保ちながら存在しているのかを伝える思想だ。
その代表的な精霊の一つが、「虹蛇」である。オーストラリア大陸を形成する川や谷などの様々な地形は、虹蛇の移動によって作られたという神話が、ソングラインと呼ばれる歌唱などによって伝えられ、日本人にもなじみの深いウルル(エアーズロック)の地底深くにも虹蛇が宿り、大切な水を守っているといわれている。虹蛇への信仰は現代オーストラリア社会でも深く根付いており、アボリジニはいつでもその力を呼び覚ますことが出来ると信じられているのだ。

cast

キャサリン:ニコール・キッドマン
1967年アメリカ・ハワイ州生まれ、4歳で母国オーストラリア・シドニーに戻る。1989年、フィリップ・ノイス監督『デッド・カーム/戦慄の航海』で、女優として国際的な注目を浴びる。2002年バズ・ラーマン監督『ムーラン・ルージュ』(01)でアカデミー賞に初ノミネート、また同作品とアレハンドロ・アメナーバル監督作『アザーズ』(01)によってゴールデン・グローブ賞のドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門にダブル・ノミネートされ、みごとミュージカル部門最優秀女優賞受賞を果たした。2003年、スティーブン・ダルドリー監督『めぐりあう時間たち』(02)のヴァージニア・ウルフ役でアカデミー賞主演女優賞、英国アカデミー賞主演女優賞、ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門主演女優賞、ベルリン映画祭銀熊賞に輝いた。近年の主な作品に『オーストラリア』(08)、『NINE』(09)、『ラビット・ホール』(10)、『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』(14)などがある。2007年にはオーストラリア政府より勲章「Companion in the General Division of the Order of Australia(AC)」を授与された。 ニコール・キッドマンのコメント
シナリオを読んで、キムに会い、彼女とこのシナリオにピンとくるものがあったの。ごく単純なことだったわ。この映画には女性性に関する強烈な感覚があって、キムは女性の精神、女性の力を固く信じている人だと思うの。この映画のセクシャリティはすごく生々しくて、キムはそういったものを描き出すために力強く戦ったのよ。
私はオーストラリア映画のサポーターなの。私はそこの出身だし、そこに帰って、この業界で仕事を始めたばかりの人たちと映画が作れるなんて、大変名誉なこと。特にキムのような、これまで映画を作ったことがないのに、こんな難しいことを始めちゃう人とはね。どんどんやっちゃうような人が大好きなの。それにオーストラリアのスタッフと仕事ができるのも良かった。この映画のスタッフのほとんどは知っているか、一緒に仕事したことがある人の息子か娘なのよ!オーストラリアのスタッフにはパワーがあって、やる気があるし、能力があるし、とっても情熱的で、オーストラリアで映画を作るのは大好き。ここは私のホーム、出身地であり、ベースなのよ。
マシュー:ジョゼフ・ファインズ
1970年イギリスのウィルトシャー・ソールズベリー生まれ。アイルランドのウェスト・コークで育ち、アート・スクール卒業後、ギルドホール音楽演劇学校で演劇を学ぶ。1996年ベルナルド・ベルトルッチ監督『魅せられて』でスクリーン・デビュー。1998年、アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた『恋におちたシェイクスピア』(ジョン・マッデン監督)の演技で、国際的なスターダムにのし上がる。その他の出演作に、『キリング・ミー・ソフトリー』(02)、『ヴェニスの商人』(04)、『マンデラの名もなき看守』(07)、『ヘラクレス』(14)など。TV出演作に「フラッシュフォワード」(09-10)、『CAMELOT~禁断の王城~』(11)、『アメリカン・ホラー・ストーリー:精神科病棟』(12-13)など。 ジョセフ・ファインズのコメント
「脚本がいいんだから、それを実現するためにはどんな土地だって遠すぎるなんてことはない。『虹蛇と眠る女』の場合がそうだった。それにシナリオと監督の組み合わせ。キムのこのドラマに対するヴィジョンはあらゆる面で複層的で、細部にわたっており、そして感情豊かなんだ。これは監督や脚本家の映画でもあると同時に、演技が中心となる役者の映画でもある。それがこの映画に惹きつけられた理由だね。それにオーストラリア。多分十五年前にここで仕事をしたことがあって、だからここに帰って来る機会は大歓迎だったんだ」。
レイ:ヒューゴ・ウィーヴィング
1960年ナイジェリア・イバダン生まれ、その後オーストラリアに移住。オーストラリア国立演劇学院で演劇を学ぶ。アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー監督『マトリックス』シリーズ(99-03)のエージェント・スミス役で脚光を浴び、その後ジェームス・マクティーグ監督『Vフォー・ヴェンデッタ』(05)、ピーター・ジャクソン監督『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(01-03)等に出演。現在までにAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)アワード、オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞を四度受賞、それ以外にも四度ノミネートされている。オーストラリアで最も有名な舞台・映画俳優の一人である。 ヒューゴ・ウィーヴィングのコメント
キムとフィオナ・セレスが接触してきて、一緒にシナリオを読んで気に入ったんだ。ずいぶん議論もしたし、熱意をもって関わったんだ。シナリオで僕が面白いと思ったのは、というか今でもそう思っているんだが、そこに隠されたもの、明らかにされないものなんだ。そのために登場人物の間に目には見えない緊張感がある。父親、母親は親としての在り方が違っていて、だから家族内に巨大な亀裂が生じてしまうんだが、でもそれについて口に出すことがない。助けが必要となった彼らは地元の警察に行くけれど、罪の意識や恥ずかしいという意識があって、自分たちの生活について話せないことがあるんだ。
リリー:マディソン・ブラウン
女優、モデルのマディソン・ブラウンはシドニー育ち。十代からTVのCMに出演。2014年ヴォーグ・ポルトガルの表紙を飾り、2015年miumiuの秋冬キャンペーンモデルに抜擢。本作『虹蛇と眠る女』はマディソンの長編映画デビュー作となる。 トミー:ニコラス・ハミルトン
2013年にデビューし、同年短編『Time』の演技によってトロップフェスト短編映画祭最優秀男優賞を受賞。最新作『Captain Fantastic』(15/マット・ロス監督)ではヴィゴ・モーテンセンの息子役に抜擢されている。

staff

監督:キム・ファラント
映画監督・脚本家・プロデューサーとして活躍。アメリカン・ニュー・シアターで俳優としての修業を積み、その後ニュー・サウス・ウェールズ大学で脚本を学び、ジェーン・カンピオンらを輩出したオーストラリア映画テレビ・ラジオ大学の監督学科修士号を取得。多くの短編映画を執筆・監督し、カンヌ、ロンドン、ニューヨーク大学学生映画祭等々、世界中の映画祭で上映され、短編『Sammy Blue』は2000年度のIF(インサイドフィルム)アワードのファイナリストに輝いた。また、自分の内なる姿を求めて自身の体をさらし、秘密を暴露する六人の人々を描く長編ドキュメンタリー『Naked on the Inside』(07)でチューリッヒ映画祭のベスト・ドキュメンタリー賞にノミネートされた。本作『虹蛇と眠る女』で長編劇映画デビュー作を飾った。 脚本:フィオナ・セレス
脚本家、女優として活躍。主としてオーストラリア、イギリスのTV産業で活躍、最近になって映画にも活動領域を広げた。近年の作品にイギリスBBCドラマ『The Silence』(2010)原案、脚本、オーストラリアのTVシリーズ『Tangle』(09-12)の共同原案、脚本など。イギリスではBBC、BBCフィルム、アメリカではHBO、サンダンスTVとの企画が進行中。脚本:マイケル・キニロンズ
アイルランド出身、脚本家、映画監督として活躍。ダブリンのトリニティ・カレッジで英語、哲学を学び、ダブリン大学で映画の修士号を取得後、ロンドン国立映画テレビ大学で監督を学ぶ。現在まで五本の長編シナリオを単独ないし共同で執筆、『虹蛇と眠る女』で劇映画デビューを飾った。監督としては五本の短編を撮っており、『Lowland Fell』にて2009年シアトル国際映画祭で特別審査員賞を受賞。現在、ジェームス・ジョイスの短編集『ダブリンの人々』を映画化する企画に携わっているほか、最初の長編監督作を準備中。 ヘアー、メーキャップ・デザイナー:ノリコ・ワタナベ
山野美容学校卒業後、ファッション業界を経て、二十一歳でカリフォルニアに移住。フィリップ・ノイス監督が『デッド・カーム/戦慄の航海』(89)でメーキャップ・デザイナーに起用した事から、彼女の国際的なキャリアが開始した。ジェーン・カンピオン作品では『ピアノ・レッスン』(93)、『ある貴婦人の肖像』(96)、『イン・ザ・カット』(03)に参加。リーアム・ニーソン、キャメロン・ディアス、ニコール・キッドマン、ケイト・ウィンスレットらハリウッド・スターのプライベートでのヘアーメイクを担当している。